カーオーディオのDSPを使って、
クロスオーバーネットワークを
調整してみよう!
ヘッドユニットにDSPが内蔵している場合、
各スピーカーごとに、
音域の出力調整ができます。
この記事では、
パッシブネットワークを使わず、
デジタルクロスオーバーを使った
調整の手順を解説します!
目次
パッシブネットワークを使うメリット・デメリット
スピーカーの出力音域が
元々設定されている、
パッシブクロスオーバーネットワーク。
一方、DSPを使って、
自分で出力音域を設定する、
デジタルクロスオーバーネットワーク。
調整が面倒なら、
パッシブネットワークを使えばいいですが、
スピーカーの出力音域の
変更ができないのが欠点です。
パッシブネットワークを使う
メリット・デメリットについては、
こちらの記事で紹介しています。
まずはタイムアライメントから
デジタルクロスオーバーの調整をする前に、
まずは、タイムアライメントの
調整から始めましょう。
タイムアライメントは、
オート機能を使えば、
簡単に設定できます。
タイムアライメントの調整方法については、
こちらの記事をご覧ください。
デジタルクロスオーバーの調整の順番
タイムアライメントの調整が済んだら、
いよいよクロスオーバーの調整です。
クロスオーバーの調整には、
2つ調整することがあります。
high(ツイーター)と
mid(ウーファー)の調整。
そして、
mid(ウーファー)と
low(サブウーファー)の調整。
調整の順番は、
highとmidから始めます。
表記についての注意点
アンプ(ヘッドユニット)によっては、
high・mid・lowではなく、
「フロント・リア・サブウーファー」
と表示されているかもしれません。
その場合、接続は、
・ツイーター → リア
・ウーファー → フロント
となっているはずです。
この後の解説では、
high・mid・low
で表記しています。
クロスオーバーの調整画面で、
フロント・リア・サブウーファーと
表示されている場合は、
・high → リア
・mid → フロント
・low → サブウーファー
に置き換えて読んでください。
ハイパスフィルター・ローパスフィルターとは?
クロスオーバーでは、
パッシブにしても
アクティブ(デジタル)にしても、
周波数をカットするフィルターを使います。
1つは、ハイパスフィルター、
もう1つは、ローパスフィルターです。
ハイパスフィルター(HPF)とは、
ある音域より上の音域を通す
フィルターのことです。
高い音域(high)を
通す(出力する)フィルター、
ということです。
別の見方で言い換えるなら、
ある音域より下の音域をカットする
フィルター、
とも言うことができます。
下の音域をカットするために使うのに、
ハイパスフィルターだと分かりにくいので、
ローカットフィルターと考える方が
分かりやすいでしょう。
続いて、ローパスフィルター(LPF)は、
今の逆で考えるといいです。
つまり、ローパスフィルターとは、
ある音域より上の音域をカットする、
ハイカットフィルターということです。
HPF、LPFとも、
high・mid・low全てに使います。
ツイーターとウーファーのクロスオーバー調整
まずは、high(ツイーター)と、
mid(ウーファー)の調整から。
パッシブネットワークを使っている場合、
この調整の必要はありません。
デジタルクロスオーバーで調整する場合、
highの調整にはHPF、
midにはLPFを使います。
位相の確認
まず、スピーカーの位相を変えます。
どちらも正相だと、音がぶつかって、
音を打ち消し合ってしまうので、
どちらかを逆相にします。
普通は、midは正相のままで、
highを逆相にします。
ツイーターの出力可能音域の確認
ツイーターの出力可能音域を調べるには、
スピーカーに付属の、
パッシブネットワークの設定を見ます。
例えば、TS-V172Aの場合、
ツイーターは、
4.6kHzのところで、HPFをかけています。
ということは、ツイーターは、
4.6kHzのところまでは、
十分に高音域を出力できる
という目安になります。
試しに、
ツイーターだけ音を出してみましょう。
midはミュートにしておきます。
まずは5kHzでHPFをかけます。
スロープは一番急にします。
DEH-970の場合だと、-24dB/octです。
dBはデシベル(音の大きさ)のことで、
octは、オクターブのことです。
-24dB/octとは、
1オクターブで、
24デシベル下がるという意味です。
5kHzで、-24dB/octのHPFをかけると、
5kHz以下の音量は、
一気に下がるということが分かります。
音場を上げるなら、HPFは低めで
5kHzよりHPFを下げて、
音の出方を確認していきます。
HPFを下げると、
ツイーターからも、
ボーカルや楽器が聞こえだすので、
音場が上がります。
音場を上げるなら、
HPFは下げた方がいいのですが、
下げすぎには注意しましょう。
ちなみに、ツイーターのHPFをオフにして、
低音を出力させると、
ツイーターが壊れる可能性があるので、
注意してください。
1kHzから5kHzの間で、
HPFをかけておきます。
highが逆相の場合、
midとの音のつながりが
一番良いスロープ値は、
-12dB/octです。
ウーファーのLPFの調整
続いて、同じように、
midのLPFを決めます。
highはミュートにしておきます。
LPF値は、パッシブネットワークを
参考にしましょう。
TS-V172Aの場合だと、
midのLPFは1.8kHzで、
-12dB/octのスロープをかけています。
ですので、まずは、
1.5kHzでLPFをかけ、
スロープはきつめで音を出してみましょう。
音場を上げるなら、
LPFは下げる方がいいですが、
ツイーターの能力も考慮して
調整しましょう。
スロープを緩やかにすると、
音の重なりができてしまうし、
急にすると、音の分離感があります。
スロープの角度について
スロープの角度はhighと同じにします。
highが-12dB/octのスロープなら、
同じように、
-12dB/octでクロスさせるのが、
一番違和感がありません。
HPFとLPFのスロープがクロスしますが、
-3dBのポイントでクロスすると、
音のつながりが一番良いです。
スロープが-12dB/oct以外の場合、
音がこもって聞こえるかもしれません。
その時は、
highの位相を正相に変えてみましょう。
highとmidの音のつながりが良いと、
1つの大きなスピーカーで
音を聞いている感覚になりますよ!
サブウーファーを付けていない場合は、
これでクロスオーバーの調整は終わりです。
[ad#article]
ウーファーとサブウーファーのクロスオーバー調整
highとmidの調整が済んだら、
次はmidとlowの調整をします。
まずは位相の確認をします。
midが正相の場合は、
lowを逆相にしましょう。
サブウーファーのLPFの調整
ウーファーのHPFを調整する前に、
先にサブウーファーのLPFの調整から始めます。
調整を始める前に、
mid・highをミュートにし、
lowの音を出力します。
続いて、
lowのLPFにスロープをかけます。
(-12dB/oct)
どこまでLPFを上げられるか、
音を聞きながら調節していきましょう。
パワードサブウーファーの場合だと、
100Hz以上出力すると、
不快音が聞こえてくることが多いです。
私の場合は、100Hzで不快音を感じたので、
LPFは80Hzに設定しました。
LPFのポイントをどこに置くかは、
サブウーファーの特性に
左右されるので、
自分の耳が不快にならないポイントを
探っていくしか方法はありません。
ウーファーのHPFの調整
lowのLPFのポイントが決まったら、
次はmidのHPFのポイントを決めます。
midのHPFをかけるポイントは、
lowのLPFの隣のポイントか、
その隣のポイントになります。
例として、lowのLPFが80Hzの場合、
midのHPFは100Hzか125Hzとなります。
隣同士の場合、
スロープは-12dB/oct、
1つ離れている場合は、
mid・lowのスロープとも、
-6dB/octにすると、
つながりがいいです。
mid・lowとも出力して聞いてみましょう。
中低音~重低音のつながりが良ければ完成!
音のつながりが良くなければ、
lowの位相を正相に変えてみてください。
これでも音のつながりが良くない場合、
サブウーファーの音量を下げてみましょう。
サブウーファーの低音が強すぎて、
音のつながりが悪いだけかも
しれませんから。
もしそれでも音のつながりが悪そうなら、
イコライザーを使って、
音が沈んでいる音域を上げます。
以上で、
クロスオーバーの調整は終わりです。
調整の仕上げに
高音から低音まで、
非常にクリアになっているはずです。
声や楽器の細かい音、
息遣いや弦を弾く音まで
聞こえてくるようになります。
女性のリアルな艶やかな声に、
思わずうっとりしてしまうことでしょう。
調整の仕上げに、
ボリュームを上げて聞いてみましょう。
タイムアライメントと
クロスオーバーの調整が
きちんとできていれば、
音量が大きくなるだけのはずです。
音が割れたり、不快な干渉音が発生したり、
うるさく耳障りな音は出ないはずです。
車を運転する時は、
周りの音が聞こえる程度の音量で、
運転しましょう。
それでは、楽しいミュージックライフを!